未来塾通信63


高校英語−前置詞+関係代名詞


■英語という言語体系は、2つの文をつなぐ方法として主に以下の3つを用意しています。

1:接続詞を用いる。

2:関係代名詞(副詞)を用いる。

3:分詞構文を用いる。

もっとも、関係代名詞を理解する場合は、「関係」を強調するよりも、「代名詞」であることにウエイトを置くべきです。その方が文章を左から右へ、速く正確に読めます。

例えば会話では以下のような使い方がよくみられます。

A:And he’s somewhere that looks very much like Hawaii.

 で、彼はどうやらハワイらしいところにいるようだね。

B:Which means he is on vacation?

 ということは、彼、休暇中ってこと?

BはAの発話全体を受けて which を使っています。関係代名詞の本質が、「代名詞」であることがわかりますね。

つまり、関係代名詞はあくまで代名詞であり、形容詞節を従えて先行する名詞(先行詞)を限定したり、情報をつけ加えたりします。すなわち、S + V という文構造で動詞の時制をフルに使って先行する名詞を詳しく説明できるのです。具体的に見てみましょう。名詞を修飾・限定する方法を段階的に日本語にしています。

1:きれいな花

2:きれいな、赤い花

3:テーブルの上の、きれいな、赤い花

4:テーブルの上の、枯れかかった赤い花

5:テーブルの上に投げ捨てられた、赤い花

6:これから売らなければならない、たくさんの赤い花

7:彼の誕生日にプレゼントするために、昨日、素敵な花屋さんで買っておいた赤い花

こうやって名詞(赤い花)を修飾・限定する方法を、段階的に見てくると、7の関係代名詞による修飾・限定が最も詳しい情報を提供していることがわかりますね。7を英語にするためには、まず次の手順で考えなければなりません。


まず、赤い花は1本か、2本以上か。これを考えなければなりません。ここでは2本以上だとしましょう。そうすると、話者の頭の中には複数の赤い花がイメージされていて、同時にそれは他の赤い花とは区別された特定の花だという意識があります。この意識が the になります。したがって、The red flowers で始めなければなりません。


ここで注意しなければならないのは、theをつけるのは後置の形容詞節によって修飾・限定されているからではありません。つまり、後ろから前の名詞(先行詞)にひっかけて修飾・限定しているので先行詞は特定されている、したがって the をつけなければならないと考えるのは誤りです。a をつけるか the をつけるかは、発話者が選択するのです。そもそも、a や the は名詞に「つける」「飾り」ではありません。


ここを詳しく説明すると、英語ということばの本質が見えてきて楽しくなるのですが、それはまたの機会にしましょう。どうしてもという人には、マーク・ピーターセン氏の『日本人の英語』(岩波新書)を推薦しておきます。

脱線してしまいました。いや、一見脱線に見えますが、すべての知識は繋がっているのであり、それを予感し、認識することこそが学習なのです。その点で言えば、「脱線」しないことの方がおかしいのです。良い授業は必ずどこかで「脱線」しているものです。

本題に戻って、今回は「前置詞+関係代名詞」に絞って、その本質を学習します。

以下の問題は、私の塾では高校1年生の終わりから高校2年生のはじめにかけて学習するものです。関係代名詞の働きそのものは単純です。以下の問題を解くには、特定の動詞、形容詞又は名詞と結びついた前置詞の知識が必要です。過去のブログでも書いたように、前置詞の理解は英語を学習する上では欠かすことができません。翻訳家の柳瀬尚樹氏も口を酸っぱくして言っていましたね。

ではさっそく問題を見てみましょう。全問正解した人は、高校生として最初のハードルをクリアできています。自信を持って次のハードルに挑んで下さい。

Q:空欄に適切な前置詞を入れて下さい。

1:We don’t know the extent (     ) which we depend on others.

2:We were amazed at the rapidity (     ) which he learned to speak Japanese.

3:Nowadays we speak quite easily and naturally of the crisis (      ) which our own civilization is passing.

4:What Americans need to be concerned with is the direction (     ) which their culture will go.

5:Freedom of speech is a condition (     ) which democracy cannot exist.

6:All tourists cherish an illusion, (     ) which no amount of experience can ever completely cure them.

最後に「英文構造把握の方法」と題した授業で扱う例題の1つを挙げておきます。空欄には前置詞が入ります。

7:The first name (    ) which a child makes conscious use may be compared to a stick (    ) the aid (    ) which a blind man gropes his way.

答えは以下の通りです。

1→ to 2→ with 3→ through 4→ in 5→ without 6→ of 

7は左から順に、of, by, of が入ります。どうです、全問正解できましたか?大切なのは考え方です。長くなるので解説は次回に譲ります。