NEW!語彙力増強法追加。もしあなたが大学受験生であれば、以下のことを実行してください。必ず実力がつきます。ただし、きついですよ。塾生で全国でトップクラスになった生徒は,以下の過程をきちんと踏んだ生徒です。
(1) 文法をはじめ、あらゆる知識を総動員して、6〜7個のパラグラフから構成されている英文の意味を正確に理解する。特に冠詞には注意する。
(2) 理解したものをひたすら音読して復習し、音読のスピードで英文の意味がわかるようになるまで練習する。付属のCDがあればシャドーイングに利用する。
(3) こうしてスピード感を獲得した問題を1題1題増やしていく。
このステップをきちんと踏んで10題ほどやると、自分でも実感できる飛躍が訪れます。より具体的に言うと、論理展開が正確で筆者の主張が明確な、7〜8個のパラグラフからなる、かなり長い英文を完璧に暗唱します。その際、単なる丸暗記では長文読解力はつきません。踏むべき手順があります。各パラグラフのトピックセンテンスを暗唱し、キーワードを英語で言い、各パラグラフが論理的にどのような関係になっているかを確認します。たとえば、前段落の例示なのか、根拠付けなのか、反証なのか、を考えるのです。この作業が口頭でスラスラできるようになって全文暗唱に移ります。これを10題やるのです。この過程を抜きにして、ただプリントの穴埋めをやったり、日本語に訳して終わる勉強を何年続けても、決して英語力はつきません。最終的には、自分の志望大学の問題にこの方法を適用し、過去数年分の問題を練習用のプリントにします。なにより大切なことは、外部のモノサシを頼りにするのではなく、「おっ、できるようになったぞ」という、自分の実感を頼りに進むことです。具体的には、初めて見る英文がかなりのスピードで読めるようになります。同じ英文を繰り返すという地道な作業を抜きにして、長文がスラスラ読めるテクニックなどないと覚悟を決めることです。Yゼミナールのいんちきパラグラフリーディングなどに、飛びつかないようにしましょう。最後に、大学受験はもちろん、大学入学後も社会人になっても、英語で苦労したくなければ、以下の参考書を文字通り必死でやってください。この参考書に、大学受験生のときに取り組めたあなたは幸運です。英語の文法力に関して最新の知見が、表現する側の観点から述べられています。予備校系の参考書にも良いものがごく少数ですがあります。しかし、実力をつけるために使う参考書と、入試問題の解法のテクニックを載せただけの参考書を混同してはだめです。予備校講師の名前を付けた「○○の英文読解」等の参考書が毎年次々に出版されていますが、英文読解の方法がそんなにたくさんあるのでしょうか。教えてもらいたいものです。
・ 『わかるから使えるへ:表現英文法・GFE』 田中茂範著 (コスモピア)
・ 『英文構成法』 佐々木高政著 (金子書房)
・ 『例解 和文英訳教本』全3巻 (プレイス)
ところで、09年のオバマ大統領就任演説の中に次のような一節があります。
To those who cling to power through corruption and deceit and the silencing of dissent, know that you are on the wrong side of history.
これを「腐敗や欺き、さらには異議の沈黙により、権力にしがみつく者たちよ。君たちは歴史の間違った側にいる」という訳文を掲載していたメディアがありました。このへたくそな日本語は置くとして、「異議の沈黙」とは何のことか。意味不明です。そこで原文を見ると、silencing of dissent となっています。この silenceing は 「silence=黙らせる」という他動詞の動名詞で、 of は目的格の of なのです。したがって、ここは「権力に異議を唱える者を黙らせる」という意味になるのです。大メディアもこのレベルです。
あるいは、『ドラゴン・イングリッシュ』で有名な、竹岡広信氏の「基本英文100」のテキストの第1文。「ウイスキーのボトルを2本も空けて車を運転するのは危険だ」を、「It would be dangerous to drink two bottles of whiskey and drive a car. 」と英訳していますが、これは日本語の語順に引っ張られた英語でしょう。情報提示の順番を考えれば、「飲むのが危険」(ウイスキーを飲むのは別に危険ではないですからね)よりも「運転するのが危険」が先に来なければおかしい。つまり、It would be dangerous to drive a car after drinking two bottles of whiskey. という素直な英語にしたほうがよい。さらにもう1例。「混雑した電車で、2人分の席を占領して平気な顔をしている人を見ると本当に腹が立つ」の英訳は次のようになっています。「People who don't feel guilty about occupying two seats on a crowded train really make me angry.」これは受験英語の第5文型に余りに毒された英語ではないでしょうか。I get angry with the people 〜で始めるべきでしょう。それにしても、こういった例文を「日本語だけ見て英文が書けるように、ひたすら繰り返して暗記する」ことで本物の英語力がつくのでしょうか。氏に言わせれば同書の「英文は、教養あるイギリス人とアメリカ人の厳密なチェックを受けて」いるということですが、どういう会話を交わしながらチェックを受けたのか知りたいものです。
最後に一つ問題です。
The principal of the school I went to did't talk like the teacher who all the students thought was best.
という英文の訳を「私が行った学校の校長先生は、すべての学生が最善だと考える先生のように話さなかった」と書いて、できたと思っているなら、日本語力・英語力ともに不安です。「すべての学生が最善だと考える先生」とはいったい誰のことですか。あなたは答えられますか。大学に受かればいいんだろう、と考えているのなら何も言うことはありませんが。正解は「私が行った学校の校長先生は、全生徒が一番良い先生だと考えている先生なのに、話し方はそれにふさわしくなかった」です。この2つの訳の間にある溝の深さがわかるでしょうか。テクニックで超えられる溝ではありません。
おまけ:語彙力増強のための具体的アドバイス>>>ホームページに寄せられた高校生からの「具体的な参考書名を挙げて大学受験に役立つ単語の覚え方を紹介してください」とのリクエストにお答えします。現在出版されている参考書で語彙力増強に役立つと思われるのは以下の3種類です。
(1)英単語ピーナツ-銅・銀・金メダルの3冊-(南雲堂)
(2)システム英単語(駿台文庫)
(3)DUO(ICP)
(1)および(2)はコロケーションを取り入れた単語集です。(3)はコロケーションのとらえかたが分かった後で使うと効果は倍増します。問題はこれらのテキストの知識をどうやって自分のものにするかということです。同じ参考書を使い、同じ授業を受けているのに実力に雲泥の差が出るのはどうしてでしょう?それは、インプットの質と方法の差です。頭の良さとは「質の高いインプットの方法を自分のものにしている」ということを意味します。インプットの質が劣っていればアウトプットの質も必然的に劣ります。英語の場合、インプットの質は英作文をさせてみればすぐにわかるのです。教える側はこの点を指摘して、それを克服するための具体的な方法論を提示すべきなのです。そうでなければ、プロの教師とは言えない筈です。私はこれを「英語 S.S card」を作る事によって提示しています。pdfファイル14ページ分の使用説明書が付いていますが、この使用説明書は絶えず進化しています。改訂を加え100ページ以上になる予定で、1冊の独立した参考書としても使えるようにしたいと考えています。是非、TOPページからアクセスしてみてください。なお、英語の先生および社会人で語彙力をさらに伸ばしたいと考えている方のために、すぐ手に入る市販されているテキストを2冊紹介しておきます。
(1)バーナード先生のネイティブ発想・英単語(河出書房新社)
(2)バーナード先生のネイティブ発想・英熟語(河出書房新社)
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