未来塾通信60



東大は出たけれど− その1


■2015年6月9日、大分県選出参議院議員で総理補佐官の礒崎陽輔氏(舞鶴高校出身)がツイッターで10代の女子と論争(喧嘩)しているのを見ました。礒崎氏は不利と見るやそのままブロックして逃走しました。礒崎氏の負けですね。18歳以上に選挙権が与えられることになったのですから、この態度はいただけません。礒崎氏がブロックした部分を含めて、二人の論争を見てみましょう。

礒崎氏
−集団的自衛権とは、隣の家で出火して、自主防災組織が消防車を呼び、初期消火に努めている中、「うちにはまだ延焼していないので、後ろから応援します。」と言って消火活動に加わらないで、我が家を本当に守れるのかという課題なのです。

女子 
−バカをさらけ出して恥ずかしくないんですか。分かりやすく解説じゃなくて都合良く解説、お疲れ様です。その説明全部論破されて終わりますよ。集団的自衛権と個別的自衛権の違いを勉強してください。議論はそこからです。

礒崎氏
−それは、私におっしゃっているのですか。「バカ」とまでおっしゃってくれていますので、是非あなたの高邁な理論を教えてください。中身の理由を言わないで結論だけ「バカ」と言うのは、「××」ですよ。お待ちしています。
 
女子 
−まず例えが下手。戦争と火事は全く別物だし(笑)。戦争は火事と違って少しでも他国の戦争に加担すれば自国も危険に晒す。当たり前だろ。しかもその解説は個別的自衛権で十分対応可能です。集団的自衛権と個別的自衛権を勉強してくれないと議論できません。
火事と戦争を同等にして例えるのがまずおかしい。わかる?火事には攻撃してくる敵がいない。戦争は殺し合い。それに少しでも加担すれば危険なのわかるよね?それが分からないなら本当に脳みそ腐ってんじゃない?
火事は消火すれば解決する。殺し合いは必要ない。戦争は違うよね?殺し合って何万人何十万人何百万人が死んでくんだよ。それに日本が加担するってことだよ。バカって図星すぎてカチンときたのかな?

礒崎氏
−あなたも「例え話」というのが分からないのですか。「例え話」は、本来の話と異なる話から、本来の話の理解を促すものですよね。自衛権の行使は、我が国の国民の生命、身体を守るためにするのでしょ。あなたこそ、一から勉強し直してください。
 
女子 
−例え話は同等の物で例えないと例えにならないんだよ。わかりますか?あとその自衛権の行使は個別的自衛権で対応可能だよって。そこ勉強しろよ。
 
礒崎氏
−個別的自衛権は、我が国が直接武力攻撃を受けないと、行使できません。だから、それまで、他国が我が国を守るために戦ってくれている中で、指をくわえて見ていていいのですかという話です。もう少し上品な言葉を使いましょうね。
 
女子 
−日本を守る戦い?は?大丈夫かこいつは。日本を守る戦争はいつ始まるのでしょうか。アメリカに言われるがまま集団的自衛権行使容認しよーとしてる今の日本で本当に日本が守れるとでも?バカすぎてつらい。こんなんが政治家でいいのか。
礒崎首相補佐官は東大卒なんだ。じゃあ、個別的自衛権も集団的自衛権も憲法も知ってるよね。知ってるくせに敢えて誤魔化してる。図星だから。知らない方がまだマシだわ、勉強しろで終わるんだから。知ってて言ってるからタチ悪いな。
 
私のコメント:

論理的思考力のかなりの部分は、ことばを使う能力そのものだと言っていいでしょう。その能力において、礒崎氏は10代女子に完全に劣っています。「こんなんが政治家でいいのか。」と心配されるのも当然です。

ことばを使う能力が象徴的に表れる場面の一つに比喩の使い方があります。どんな比喩を使うかは、その人の語彙力・論理的思考力に大きく依存しています。「例え話は同等の物で例えないと例えにならないんだよ。わかりますか?」と指摘された時点で、礒崎氏は完全に負けています。しかし、それに気づかず、自分の使った「例え話」をひっこめて、相変わらず同じことを主張し、「もう少し上品な言葉を使いましょうね」などと言って論点をそらしています。卑怯です。しかし、私の本当に言いたいことは、この二人のやり取りに象徴的に表れている別の点にあります。